孤独に真摯に耐えていく

山下俊彦さん。「日本人はどうも孤独に耐えられなくなっているような気がする。寂しさから逃れる為に、その場限りの楽しみを求めたり趣味に走る傾向も強い。例えば、私は碁が好きだが、碁を打っている時は寂しさを忘れることができる。しかし、それで孤独が消えるわけではない。人間は孤独から逃れることは出来ないのだ。逃げたと思っても、それは『一時的な逃避』に過ぎないということを決して忘れるべきではないと思う。私は山本周五郎の『この世の中で経験することで、無駄なことは一つもない』という言葉に惹かれるが、孤独にしても、それに真摯に耐えてゆけば、孤独に耐えることによって自らの主体性が養われていくからである。さらには、他人の寂しさ、孤独の痛みも理解できるようになる」孤独から逃げる手段が溢れている今だからこそ。