君子は自ら反る

nakatomimoka2014-05-13

安岡正篤さん。「現代の深刻な問題は、人間が外にばかり目を奪われ、心を奪われてしまって、自分というもの、内面生活というものを見失いがちなことである。そこにあらゆる失敗、罪悪が生じてきている。君子は自ら反る(かえる)。『自反』ということは、『論語』『孟子』の根本精神といってよい。自ら反る。自らに反る。自分で自分に反る。例えばつまずいてけがをした。『こん畜生!』といって石を蹴る人間がある。そういうのはつまらない人間である。つまずいた時『ああ、うっかりしていた。おれもまだいけないぞ』と反省する。自ら反る。それが本当の人間である。その人は確かな人であり進歩する人だ。そこからも非常に変わってくる。あらゆる価値の世界、文明の世界、進歩の世界というものは、人間が人間自体に返るところから初めて築き上げられる」自反。