忘己利他慈悲極

nakatomimoka2015-10-21

瀬戸内寂聴さん。「大乗仏教では、自分のことより他人の幸福を先に祈り、他人の幸せのため手を貸すことが根本の思想であり、第一の義務だと教えている。仏教でいう最高の至福の状態は、涅槃といわれている。その状態を向こう岸、彼岸に渡ると例えられている。だから悟りとは彼岸に渡ることで、渡すという言葉が使われる。我々の住む此岸、すなわち娑婆から、涅槃の彼岸へ渡るためには、六波羅蜜という六つの行を義務とする。渡し賃のようなものだ。布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の六つの行は、人間が生きていく上の根元の義務ではないだろうか。最澄は、『忘己利他慈悲極』といわれている。自分が未熟だから、人のためになどつくせない、まず自分がちゃんとしてからだ、と人はもっとらしくいいたがる。仏教では、そんな生ぬるいことはいわない」忘己