老人になった自分を

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内田樹さん。「若いうちから老人になった自分を想像的に先取りする際に、守るべきことが二つある。一つは、自分の『これだけは一生治らないだろうなあ』と思える、際立って個性的な資質に焦点化すること。そうすれば、(漱石のように)少年の時に選んだ号を一生使えるという実利的な点もあるが、何よりもそれはクールで緻密な自己観察を要求する。老人になるころには、考え方も体つきも、今とまったく変わってしまっているだろうが、それでも『ここ』だけは決して変わっていないだろうという点が必ずある。それがいわゆる『アイデンティティ』なるものの礎石になる。もうひとつは、老人となった自分のありようについて、あまり具体的に細部にわたって想像しないこと。職業とか、年収とか、家族の有無とかはあいまいにしておいた方がいい」中臣モカマ庵。