イングリッド・フェテル・リーさん。「荒川のいう感覚が五感しかないというのはナンセンスで、何千とある、というのは過剰な気がしたが、それでも科学者は一般的に12から21という数を挙げる。たとえば時間感覚、平衡感覚、方向感覚。そのほか満腹を知らせる伸縮センサーのような感覚や、空間の中で自分の体の位置を教えてくれる固有感といった、深部感覚もある。豊かな環境には精神を刺激し、憂鬱を長引かせないようにする何かがあるのだろうかと思った。本当に意味のある『豊かさ』とは、物質的蓄積ではなく感覚的豊かさだということだ。サーカスやノミの市があんなに楽しいのは、豊かで歓喜に満ちた感覚的刺激が得られるからだ。『豊かさの美学』とは、色と感覚、パターンを重ねることであり、それを実現するのに多くのものは必要ないのだ」感覚的。