すぐれた物語は身体に効く

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内田樹さん。「すぐれた物語は『身体に効く』。本当にそうなのだ『物語は身体に効く』。だから、わたしたちは『物語を身体で読む』。三浦雅士橋本治養老孟司も、それと同じことを別の言葉で伝えようとしている(と思う)。でも、彼らを除くと、身体と物語の関係をきちんと言語化しようとしている批評家はとても少ない。他人の頭に自分の身体を接続するのである。自分の頭をもってしては他人の頭の中で起きていることを言語化することができないからだ。けれども、自分の身体は他人の頭から送られてくる微弱な信号でも感知することができる。頭は『意味』しか受信できないけれど、身体は『意味以前』のものでも受信できる。頭は『シグナル』しか理解できないけれど、身体は『シグナルになる以前のノイズ』を聴き取ることができる」身体で読む。