武道が涵養する能力

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内田樹さん。「極限状態、戦争とか地震とか津波とか大規模な災害やパニックに遭遇することって、誰の身にもありますよね。そういう時に、一時的に強いストレスがかかって肝を潰してしまうと、どんな生物も生命力がぐっと下がってしまうわけですね。武道の一番大切な修行目的の一つは、そういう極限的な状況の時にこそ、生命力や正確な判断力や感受性が劇的に向上して、普段以上に判断力や感受性や知性が活性化するような心身を作り出すことだと思うんです。そうじゃないと、そういう極限状態を生き抜けないですからね。武道が涵養する人間的能力って、つきつめると『生きる力』ということに尽きるんだと思うんです。その『生きる力』の中にはあらゆる人間的能力が含まれる。幕末や明治の人は、極限的な前代未聞の状況に直面していたわけです」生きる力。