内田樹さん。「武道の稽古で結局何をやっているかというと、体を強く、速く動かす、ということではないんですよ。そんなことをしてもしょうがないんです。そうではなくて、細かく動かすということなんです。普通の人間は体をいくつかの大きなブロックに分けて、ブロックごとに動かすんです。がく、がく、がくってね。それはけっこうたいへんなんですよ。大きいものを動かすわけですからね、重たいし、動きも遅くなるし。相手から見ると、気づかれやすい。武道では『起こり』と言いますけれど、動き始めの、身体部位が起動する時の『どっこいしょ』というシグナルが出てしまう。だから、そういうふうに体を大きなブロック単位で使うのは武道的にはよくないことなんです。光岡先生もおっしゃっていることですが、体をとにかく細かく割ってゆく」細かく動かす。
