深い時間を生きる

オリバー・バークマンさん。「農民の暮らしはけっして楽ではなかった。でも彼らは、日々の暮らしのなかで、神々しく輝く瞬間を知っていた。リチャード・ロールはそれを『深い時間を生きる』と表現している。夕暮れどき、クマやオオカミにまぎれて、森の中でささやく精霊の声。畑を耕しながら、ふと広大な歴史の渦にのみ込まれ、遠い祖先が我が子と同じくらい身近に思えるひととき。作家のゲイリー・エバリーの言葉を借りるなら、『あらゆるものが充分にあり、自分や世界の空虚さを埋めなくていい、そんな領域に突然入り込む』瞬間、そんなとき、自分と世界を隔てる境界線は揺らぎ、時間は停止する。『時計が止まるわけではないが、時を刻む音がふいに聞こえなくなる』とエバリーは表現する。祈りや瞑想でそんな境地に達する人もいる」深い時間、忘れてるな。