奇人のいる街は住みやすい

nakatomimoka2016-11-08

鷲田清一さん。「奇人とは、変人と違って、あっちにまで行ってしまったひとたちなのである。奇人のいる街は住みやすい。これ以上行ったらほんとうに終わり、という人生のリミットが眼に見えるかたちで示されているからだ。人生の里程標が明確に刻印されている街とでも言おうか。逆の言い方をすれば、そのリミットのうちなら何をしでかしてもどうにかなるという保証とも言えぬ保証があるからだ。それはまた成熟のしるしでもある。異物を異物として遠ざけながらも、その存在を許す懐の深さがあるからだ。それを危ぶむより、ひょっとしていつの日か街が行きづまってにっちもさっちもいかなくなったときにその存在が世直しのきっかけになるかもしれないという、あんまり当てにならない予感をそれでも持ち続ける余裕があるからだ」成熟した都市の寛容。