2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

代償的コントロール

イーサン・クロスさん。「プロのテニス選手にとって最も重要なのは、世界レベルの選手と戦って肉離れを起こさないことだと考えられがちだが、ナダルは違う。『僕にとって、テニスの試合中の最も激しい闘いは、頭の中の声を鎮めることだ』と彼は言う。彼のコ…

環境に秩序をもたらす

イーサン・クロスさん。「ナダルは試合前にいつもすることをした。まず、片手に1本のラケットを握ってコートを横切り、自分のベンチまで歩く。それから観客のほうを向いてウォームアップ・ジャケットを脱ぎ、両足の母指球を支点にして勢いよく前後にジャンプ…

自我の収縮

イーサン・クロスさん。「言葉にできない雄大なものの存在を前にすると、自分―そして頭の中の声―が世界の中心だとは考えられなくなってくる。それによって、思考のシナプスの流れが変わる。何であれ、それを体験することで安堵感が得られる。畏怖の念を誘う…

自然は脳を再充電

イーサン・クロスさん。「参加者の成績は、街中の散歩ではなく、自然の中の散歩の後で目覚ましく向上した。また、散歩する時期が陽光輝く夏か、陰鬱な冬かは影響しなかった。恩恵は私たちの感情にも及ぶのだ。心の『緑化』は、自然に囲まれていなくてもでき…

畏怖の力

イーサン・クロスさん。「畏怖は、説明しがたい強い力を持つものに遭遇したときに感じる驚嘆の念だ。大自然の中で素晴らしい夕日、高山の頂、美しい眺望などを目にすると、畏怖の念に打たれることが少なくない。畏怖は、自身の必要や欲求を超えた思考を可能…

愛情のこもった接触

イーサン・クロスさん。「チャッターに圧倒されている近しい人びとを助ける方法がもう一つある。それは完全に非言語的な方法、つまり愛情のこもった身体的接触だ。私たちが用いる最も基本的なツールの一つであり、自分にとって大切な人が、ネガティブな内な…

共同反芻の罠

イーサン・クロスさん。「人々は私たちに、何を感じたのか、何があったのかを詳しく話すよう求める。話している間、彼らは頷いて共感を示すかもしれない。だが、それによって私たちは、支えを求めるよう最初に私たちを突き動かしたまさにその感情と経験を追…

人は喜んで苦しむ

國分功一郎さん。「ニーチェはこんなことを言っている。いま、幾百万の若いヨーロッパ人は退屈で死にそうになっている。彼らは、『なんとしてでも何かに苦しみたいという欲望』を持っている。苦しみが欲しい、苦しみから自分の行為の理由を引き出したい。退…

苦しみを求める人間

國分功一郎さん。「熱中できる為には、気晴らしはどのようなものでなければならないか?お金をかけずにルーレットをやっても、ウサギを楽々ととらえることのできる場所で狩りをしても、気晴らしの目的は達せられない。つまり、気晴らしが熱中できるものであ…

退屈という病

國分功一郎さん。「パスカルははっきりと言っている。気晴らしには熱中することが必要だ。熱中し、自分の目指しているものを手を入れさえすれば自分は幸福になれると思い込んで、『自分をだます必要があるのである』。人間は部屋にじっとしていられず、必ず…

気晴らしは熱中できるもの

國分功一郎さん。「こう考えてくると、気晴らしは要するに何でもよいのだという気すらしてくる。退屈を紛らわしてくれるなら何でもいい。あとは、選択可能な気晴らしの中から、個人個人にあったものが選ばれるだけである、と。だが、確かに何でもよいかもし…

安心感と連帯感を生む

イーサン・クロスさん。「困っているときに団結すれば、ゆるぎない強みとなる。この考え方を支えるのが、ストレスを感じているときに他人と手を携えると、安心感や連帯感が得られるという発見だ。こうした感情は、ストレスを和らげる一連の生化学反応(オピ…

解決策よりも共感

イーサン・クロスさん。「動揺して、無力感を覚えたり、傷ついたり、圧倒されたりすると、私たちは感情を吐き出して、慰められたり、正しいと太鼓判を押してもらったり、理解してもらいたいと思ったりする。これですぐに、安心して、つながっていると感じら…

カタルシスのプロセス

イーサン・クロスさん。「ネガティブな感情について他人に語るのは私たちにとっていいことだという考えは、2000年以上も欧米文化の一部になっている。このアプローチの最初期の擁護者がアリストテレスだ。彼は、人間は悲劇的な出来事を目撃したら、感情を発…

どんなに不安でも

イーサン・クロスさん。「どんなに不安でも目の前の仕事に取り組まなければいけないと認識すると、内なる批判者は消えていく。心理学者が示してきたところによると、ストレスのかかる状況に置かれた時に人が最初にすることの一つは、二つの問いを自分に(普…

あなたという二人称を用いる

イーサン・クロスさん。「夫の死後、サンドバークは自分を飲み込もうとする悲しみの荒波に耐える方法を探し、自分の経験していることを日記につけはじめた。これは理に適った選択肢だ。知っての通り、心のありのままを書く筆記開示は有用な心理的距離を確保…

ウサギが欲しいのではない

國分功一郎さん。「ここからがパスカルの分析の面白いところだ。人間は退屈に耐えられないから気晴らしを求める。賭け事をしたり、戦争をしたり、名誉ある職を求めたりする。それだけならまだわかる。しかし人間のみじめはそこでは終わらない。おろかなる人…

没頭することを渇望

國分功一郎さん。「アレンカ・ジュパンチッチが、大変興味深く、そして、大変恐ろしいことを述べている。人は自分を奮い立たせるもの、自分を突き動かしてくれる力を欲する。なのに、世間で通用している原理にはそんな力はない。だから、突き動かされている…

暇のなかで退屈

國分功一郎さん。「人は暇を得たが、暇を何に使えばよいのか分からない。このままでは暇のなかで退屈してしまう。だから、与えられた楽しみ、準備・用意された快楽に身を委ね、安心を得る。なぜ、人は暇のなかで退屈してしまうのだろうか?こうして、暇のな…

暇をどう使ってよいか

國分功一郎さん。「『ゆたかな社会』すなわち、余裕のある社会においては、確かにその余裕は余裕を獲得した人々の『好きなこと』の為に使われている。しかし、その『好きなこと』とは、願いつつも叶わなかったことではない。問題はこうなる。そもそも私達は…

趣味とは何だろう

國分功一郎さん。「『好きなこと』という表現から、『趣味』という言葉を思いつく人も多いだろう。趣味とは何だろう? 辞書によれば、趣味はそもそもは『どういうものに美しさやおもしろさを感じるかという、その人の感覚のあり方』を意味していた。これが転…

金銭と時間の余裕

國分功一郎さん。「国や社会が豊かになれば、そこに生きる人たちには余裕が生まれる。その余裕にはすくなくとも二つの意味がある。一つ目はもちろん金銭的な余裕だ。人は生きていくのに必要な分を超えた量の金銭を手に入れる。稼いだ金銭をすべて生存のため…

経験はともに短縮

イーサン・クロスさん。「傍観者の視点に立つことで問題から距離を置くと、怒りや悲しみを感じる出来事を経験したあとで人々が抱く否定的な気分は持続時間が短くなる。距離を置くことによって、チャッターという局地的な火事を、大火災になる前に鎮火できる…

幸福追求の落とし穴

柴田悠さん。「幸福追求には落とし穴があります。『意図的に幸せになろうとすると、ストレスになる』『幸福感に焦点を当てると、幸福感が下がる』という落とし穴です。幸福感を得たい意識が高まると、失望しやすくなり、幸福感を得にくくなってしまうのです…

経験を味わう

柴田悠さん。「幸福感を高める有効な方法のうち、最も簡単な3つの方法を紹介します。第1は、『味わって食べる』です。この習慣の程度は、『多くの料理の味をはっきりと簡単に想像することができる』『友人から食通と言われる』などのことに当てはまる程度…

キャリアハイの背景

串田孝義さん。「(昨季キャリアハイを達成した女子プロゴルファーの青木瀬令奈は)サントリー女子優勝後は次の一勝を目指して毎日、ラウンド後に『ざんげノート』をつけるようになった。コースを離れてもノートを開き、白い紙の向こうにいる自分自身の内面…

こっそり他人を観察

イーサン・クロスさん。「離れた場所に立って、思考が漂うのをそれに関与せずに眺めることが目的ではない。大事なのは『関わること』なのだ。ただし、距離を置いた視点からそうする。『一歩下がる』方法について考え始め、誰もが持っているツールに行きつい…

気をそらしても

イーサン・クロスさん。「当時、内なる声の反芻と闘うための主要な方法の一つは、『気をそらす』ことだった。いくつかの研究で、人々がネガティブな言語的思考に囚われていたら、問題から注意をそらすと感情が上向きになることがわかっていた。だが、この方…

懐かしさのポイント

瀧靖之さん「何かを『懐かしい』と感じるには、『ある物事に親しみを感じること』と『しばらくその物事から遠ざかること』という2つのポイントが必要になります。『ある物事』とは、流行歌、学校の校舎、お菓子、マンガ、友人などなど、ものでも人でも何で…

思考は独り言を

エックハルト・トールさん。「ぶつぶつとひとり言をつぶやきつづける人に、道で出くわしたことがありませんか? 実をいうと、わたしたちのおこなっている頭の中の会話も、これと大差ありません。実際に声に出すかどうかの違いだけなのです。思考は意見をする…