2024-01-01から1年間の記事一覧

笑いでエンドルフィン

山口創さん。「大笑いした後に、涙が出てぼーっとした幸福感を感じたことはありませんか? あるいは嫌なことがあっても、家に帰ってお笑い番組を観て笑っているうちに、どうでもいい気分になってくるという経験があるかもしれません。笑うという行為は、霊長…

一緒に笑うと

山口創さん。「笑うという行為は、霊長類のグルーミングと同じように、エンドルフィンを増加させます。笑いには、エンドルフィンの効果で自意識を弱める作用があることもわかってきました。コメディ映画を観て一緒に笑ったグループは、自分をさらけ出すよう…

踊る人同士の絆を

山口創さん。「このように伝統的な踊りは、個人個人が好き勝手な動きで踊るのではなく、皆が動きを同調させながら踊るのが特徴です。こうした同調した動きはエンドルフィンを増やし、踊る人同士の絆を強め、その後の生活を互いに協力的にし、向社会的行動を…

歌や踊り

山口創さん。「人間は、霊長類の祖先と比べて、次第に大きなグループで社会的絆を築き、維持する必要性が出てきました。そこでその問題を解決するために、歌や踊りなどの身体を通した音楽活動を発明したのです。研究によると、20人から80人の小規模のグルー…

歌うことでグルーミング

山口創さん。「他者と一緒に歌を歌ったり、楽器を演奏したりする音楽は、他者と身体を同調させて活動します。こうした活動は、エンドルフィンの分泌を促します。音楽活動は、複数の人を同時に『グルーミング』し、そしてエンドルフィンの放出を経験するため…

霊長類のグルーミング

山口創さん。「人間以外の霊長類では、グルーミングをずっとしています。そのことで社会的な結びつきを築いたり、維持することができるのです。グルーミングは、脳内のエンドルフィンの放出を促し、互いの親密な関係を築きます。しかし、一日の中で他にもや…

相手と同調する

山口創さん。「私たちの身体は、同調する他者の身体から共感や愛を感じとって、心地よく感じるようにできています。ではなぜ、相手と同調することが、信頼関係や好意を高めることにつながるのでしょうか。ラングたちの研究によると、エンドルフィンは相手の…

エンドルフィンの多幸感

山口創さん。「エンドルフィンは心理的には、ぼーっとした多幸感をもたらしますが、長続きはしません。もしも長く続いたとしたらどうでしょうか。それでは私たちは最良の決断を下すことはできません。身体にとっての痛みは『危険な事態が生じている』という…

エンドルフィンの幸福

山口創さん。「エンドルフィンの幸福というのは、大学に合格した時の喜びとか、長年の仕事の成果が上司に認められたりした時の幸福感です。もともとエンドルフィンは痛みや苦痛といった身体の緊急事態に対処して、それをやわらげるために進化した物質です。…

セロトニンの効用

山口創さん。「セロトニンとドーパミンは、シーソーの関係にあります。ドーパミンが多い人は、セロトニンが少なくなっています。衝動性が高くてキレやすい人は、ドーパミンが多くセロトニンが少ない状態です。また暴力的な人や自殺願望がある人も、同じ傾向…

天気とセロトニン

山口創さん。「天気のよい日は気分もよくなりますね。それは日光浴がセロトニンの分泌を高めているからです。ただし残念ながら電灯のような弱い光ではほとんど効果はありません。2000~3000ルクス(明るい室内程度)であれば、短時間でもセロトニン神経を活…

セロトニンを分泌する神経

山口創さん。「ウォーキングなどの運動は、毎日継続することが大切です。毎日が無理でも一日おきにでも、長期にわたり継続することが大切です。継続する期間は数週間から数カ月は続けましょう。セロトニンを分泌する神経が鍛えられるまで、3カ月の期間が必要…

セロトニンを増やす

山口創さん。「人の感情は、直後の動作によって修正されることを示しています。直後に腕を上に動かして抗重力筋を動かした結果、セロトニンが増えた。嫌なことがあったとき、それを見聞きした直後に笑顔をつくったり、腕を持ち上げたりする動作をすると、ス…

姿勢をよくすることで幸福感

山口創さん「姿勢の良し悪しは心と密接に関係していて、姿勢をよくすることで幸福感を高めることができるのです。ガッツポーズをつくるのは、アドレナリンの作用です。アドレナリンは、臨戦態勢になったときに分泌されて、心拍数や血圧を上げて闘いに勝つた…

ハイパワー・ポーズ

山口創さん。「そのような幸福感を感じられる人は、胸を張っていきていることでしょう。『胸を張る』という姿勢をとるだけでセロトニンなどいろいろな幸せホルモンが分泌されるからです。エイミー・カディらの研究では、身体を大きく広げるような『ハイパワ…

人との比較による幸福感

山口創さん。「人との比較によって感じられる幸福感など、中身がなく虚しいだけです。しかも比べる相手は無数にいて、どのような相手と比べたら幸福感が感じられるか、といったことに心が汲々としていたとしたら、それだけで無駄に心が疲れてしまいます。ま…

社会的比較

山口創さん。「私たちも、意識するしないにかかわらず、常に自分を他の人と比べています。心理学ではこれを、社会的比較といいます。特に自分の自尊心を保ちたいために、自分よりも下と思う人と比べる傾向があります。そうすれば、自分のほうが優位だという…

地位の優劣を判断

山口創さん。「爬虫類は食物を見つけたときには他の個体のことは気にせずに、食べ物に突進します。群れで生活する哺乳類が食物を見つけたとき、各々が我先に食物に突き進んだとすると、群れの他の個体から攻撃される可能性があります。生存にとって、食物を…

べからず集

権藤博さん。「監督になった私は仕えた監督たちと逆のことをしただけだった。中継ぎ投手は打たれた次の日も起用した。プロ同士、そんなに続けて打たれるわけもなく、自信を取り戻す。今ではどの球団も、このやり方を採用している。マスコミ対応では選手の批…

セロトニンのバランス

山口創さん。「セロトニンは不安やストレスを緩和して心のバランスを整えてくれます。交感神経と副交感神経の2種類の神経を調整する働きを活性化させることにより心のバランスを整えています。セロトニンには、脳の大脳皮質に働き、起きているときにスッキ…

幸せそうな顔を記憶

山口創さん。「オキシトシン神経はいつでも修復することができます。オキシトシンは相手に関する情報を収集しようとします。オキシトシンを投与すると、相手の顔、特に目の周りに注意を向けて、相手の気持ちを読み取ろうとします。『心は目の窓』といわれる…

推し活とオキシトシン

山口創さん「昔から女性は『恋をするときれいになる』と言われることがあります。それは、トキメキが女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を活性化しているからです。心がときめくとドーパミンが増えて、『手に入れたい』という気持ちが高まります。このとき…

スイーツ・音楽

山口創さん。「オキシトシンは、甘いものを食べるなど味覚でも分泌されます。そしてオキシトシンが分泌されると、食欲を抑制する作用が出てきます。だから人は、ストレスを感じるとスイーツなど甘いものを食べたくなり、実際に食べると幸福感を感じてストレ…

ラベンダーでオキシトシン

山口創さん。「オキシトシンは、更年期には骨粗鬆症を予防したり、体内で脂肪の蓄積を抑えてくれる作用もあるのです。高齢期に入ると、皮膚が乾燥しやすくなりますが、オキシトシンは皮膚のバリア機能を高めて乾燥を防いでくれる働きもあります。また認知症…

悪口を言わない

山口創さん。「悪口を言う人は、他人と比べて自分の方が劣っていると思っていて、嫉妬心から悪口を言うことが多いのです。自己肯定感が低い人といえるでしょう。悪口は依存症の一種だと考えられています。人の悪口を言うと一時的にドーパミンが出るため気分…

心の空白を満たす

山口創さん。「強い快感をもたらすものとして、薬物、ニコチン、アルコール、ギャンブルが知られています。他にも買い物依存症や恋愛依存症など、すべての行動に依存症になるリスクがあるのです。子供を叱るという行為も依存症になります。叱るという行為は…

依存症の仕組み

山口創さん。「ドーパミン神経は、快楽を得ようと行動を起こします。満足が得られればその行動をストップさせます。ところが強い快楽を何度も繰り返し感じ続けていると、脳は自然のメカニズムとしてドーパミンの受容体として快楽を減らそうとしてしまいます…

やみつき食品

山口創さん。「やみつきになりやすい食品は2種類あります。ひとつめは食べ物そのものにやみつきを誘導する物質が含まれている場合です。コーラやコーヒーに含まれるカフェインや、アルコール飲料に含まれるエタノールなどの物質は、報酬系に直接作用してドー…

エとドの違い

山口創さん。「エンドルフィンは目の前にあるものを食べるとか、今やったことに対する報酬として分泌されます。それに対してドーパミンは『もっと上』『もっとよいもの』を目指す動機づけの作用を持っています。たとえば大きな仕事を成し遂げる目標があった…

セットで考える

山口創さん。「ドーパミンとシーソーの関係にあるオキシトシンやエンドルフィン、セロトニンは、セットで考えると効率よく幸福感を長続きさせることができます。ドーパミンとオキシトシンのセット(限界効用逓減の原則)。ビールを飲む場合を考えてみましょ…