ゲーミフィケーション

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アダム・オルターさん。「ゲーミフィケーションとは、ゲームでない体験をゲームにしてしまうことを言う。2002年にこの造語を考案したのはニック・ぺリングだ。中心にあるのは、『体験そのものを報酬にすべき』という発想だ。共通する3つの要素。ポイント制であること、バッジがあること、そして上位に入ったプレイヤーを発表するランキング表(リーダーボード)があることだ。この3つを活用した最初の試みは、航空会社のフリークエント・フライヤー・プログラムだった。1972年にユナイテッド航空が初めてマイレージプログラムを立ち上げ、他の航空会社もすぐに同様の仕組みを導入している。ゲーミフィケーションはビジネスツールとしての効用が大きいが、うまく活用すれば、人間により幸せで、より賢明な行動を促すこともできる」ゲーム化で。

依存症3つの要素

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アダム・オルターさん。「人を依存症にするゲームには必ず3つの要素がある、とアンディ・ドアンは私に語った。『第1の要素は没入感だ。ゲームの中に入りこむ感覚があること。第2の要素は達成感で、何かを成し遂げている感覚があること。そして第三の要素は、これが一番重大なのだが、社会的要素があることだ』。ゲームに対する依存症が劇的に広まった理由は、ドアンに言わせると、高速インターネット接続が普及したおかげでリアルタイムにコミュニケーションすることが簡単になったからだ。ドアンによると、オンラインの友情だけで成長した脳は、その後もリアルな世界の交流に完璧には対応しきれない。子どもの発達段階においては、多様なメンタルスキルが育つ時期が大体決まっていて臨界期と呼ばれるが、ソーシャルスキルの発達にも当てはまる」依存。

最適相違

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アダム・オルターさん。「社会心理学の研究によると、人間は否定的な発想より肯定的な発想の方を都合よく採用するものらしい。だが、自分自身を高く評価する一方で、人は否定的なフィードバックに対して過敏になる傾向もある。ある心理学の論文では、これを『悪いものはよいものより強い』と表現した。この法則性はさまざまな体験に表れる。例えばアマゾンや、『トリップアドバイザー』を見ているときは、つい否定的なレビューをスクロールして読みこまずにはいられない。自分の嗜好が承認されるのは嬉しいものだが、ときには外れるのも、それはそれでまた嬉しいものだ。自分が特別だという意味になる。だいたいはみんなと一緒で、ときどき自分だけ特別ーというこの2つが一番いいバランスで感じられる状態のことを、心理学では『最適相違』と呼ぶ」社会的承認。

社会的相互依存

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アダム・オルターさん。「インスタグラムを開発したシストロムたちも、人間には他人と比較したい永遠の欲求があることを見抜いていた。写真を撮るのは思い出を自分で見返すためでもあるが、基本的には、他人に見せるのが一番の目的だ。投降した写真には、『いいね!』や、シェアや、コメントといった反応がついたりつかなかったりする。インスタグラムのソーシャル・フィードバック機能には、人をのめり込ませる力がある。自分の価値と言うものはわからないものだ。身長や体重、もしくは年収のように数字で測ることができない。社会的な評価にことさらこだわる人もいるが、そうでなくても誰でも多少は、他人にどう思われているか気にせずにいられない。しかもフィードバックのタイミングや内容がランダムだと、もう気になって気になって仕方なくなる」評価。

クリフハンガー

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アダム・オルターさん。「人間は完了した体験よりも、完了していない体験のほうに、強く心を奪われる。これが『ツァイガルニク効果』と呼ばれる現象だ。課題に要する作業に取り組み始めた被験者には、それを完了しなければならないという疑似的なニーズが生じる。緊張し、その緊張を解決したいと感じる。課題を完了すれば緊張が解消する。すなわち疑似的なニーズが消える。課題が未完了という緊張状態が維持され、欲求もそのまま残っている。ツァイガルニク効果は日常のあらゆる場面で見つかる。たとえば、頭の中で同じメロディーが何度もしつこく流れて止められなくなる経験は、誰でも覚えがあるだろう。頭から離れないメロディーは解消されないクリフハンガーになるので、そのせいで曲が人気になることがあるという。セプテンバーを例に挙げた」宙ぶらりん。

ルディック・ループ

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アダム・オルターさん。「ゲームの世界では、こうしたフローの感覚を『ルディック・ループ』と言う。ラテン語で『遊ぶ、ふざける』を意味するludereから来た言語だ。謎を1つ解いて、つかの間の興奮を味わい、また新たに解くべき課題と出合うとき、人はルディック・ループに入る。挑戦しがいのあるビデオゲーム、難しいクロスワードパズル、繰り返しだが刺激のある仕事、ハズレの合間に小当たりを出すスロットマシン、その他さまざまな没入型の体験に挑戦しているときも、ルディック・ループになりやすい。フロー体験と同じく、このループも非常にパワフルな魅力を持つ。報酬の過剰追求という問題は、深刻な広がりを見せている(過労死など)。本来、人類の歴史を振り返れば、報酬率というのは基本的に低いものだった。稼ぎすぎることが不可能だったからだ。過食と同じで、報酬の過剰追求は、生産性向上がもたらす現代病である」ループ。

上達すると心地いい

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アダム・オルターさん。「苦労の感覚は、依存体験を形成する重要なカギとなりやすい。単純ながら史上最も依存性が高いと言えそうなゲーム『テトリス』がその代表的な例である。長続きする理由は、テトリスが自分と一緒に成長していくからだ。最初は易しいが、こちらが上達して上のレベルに行くにつれ、ゲームの難易度も増していく。難易度がエスカレートしていくというのは、重要なフックなのだ。上達すると脳が効率的になるのも快感と感じる一因である。テトリスの場合は、熟練度の差にかかわらず、誰もがずっと最近接発達領域で遊びつつけることになる。チクセントミハイの『フロー』を体験しているとき、試練と、その試練をちょうどぎりぎりで克服する能力、その2つが組み合わさった貴重な状況で、人は強烈で持続的な幸福観を感じるのである」フロー。