練達は希望を生ず

加藤一二三さん。「私の場合には9年後に名人になり、願いが叶えられたわけですが、この9年が長いか短いかは私にはわかりません。中には神様に20 年も30年も願い続けていらっしゃる方もいます。願いがいつ叶えられるかは人間にはわからない。しかし神様はその人にとって一番相応しい時に必ず願いを叶えてくださると信じることができれば、人々は辛苦に耐えていくことができるのです。キリスト教の最高の徳は忍耐だといわれています。新約聖書の『ローマ人への手紙』の中で聖パウロは次のように言っています。『艱難は忍耐を生じ、忍耐は練達を生じ、練達は希望を生ず』。失敗とか挫折とか、思うようにいかないことがあるからこそ、人間は成熟し、人格的にも深みが増していくんですね」自分にとって一番ふさわしい時に、必ず願いが叶うはずと信じて。