よい妄想の効用

永田勝太郎さん。「ヴィクトール・フランクル先生がアウシュビッツ収容所で家族全員を殺され、いつガス室へ行けと言われるかもしれない中を生き抜けたのは、基本的に楽観主義者だったから。アウシュビッツチフスにかかった先生は高熱を発しました。今夜もし寝てしまったら、私は明日の朝、死体になっているだろう、と。一方、頭の中では何を考えていたかというと、自分は米軍に救出されてウィーンへ帰る。そして、『一精神医学者の収容所体験』という本を書き上げ、それが世界的なベストセラーになってカーネギーホールに呼ばれると考えた。ホールを埋め尽くす聴衆を前に講演を終え、大喝采を受けている自分の姿を想像していたというんです。今夜死ぬかもしれないという、その最中に。僕は『よい妄想』というのは、実は大事ではないかと思います」心は自由。