ななめ上を向いて①

東京オリンピックの重量挙げで1メートル55と小柄ながら、トータル397・5キロを挙げる驚異的な世界新で金メダルを獲得した三宅義信さんの姿を見て、柴田錬三郎さんがこう書いている。「私は各選手がバーベルを前にして、いかにして無心の状態に自分を置こか必死になっているのを眺めながら、そのむかしの剣客たちの修業を想った。(中略)私は三宅選手がバーベルの棒をつかんだ刹那、顔を上げて宙の高いところへ視線を放つのを眺めて、彼がおのずから会得した無心の一瞬に感服した。ほかの選手で、バーベルの棒をつかんだとき、高いところを仰いだ者は一人もいなかった。」最近、無心になるべき瞬間、持ったことありますか。