企業経営理念の伝承

セコムの飯田亮会長は、理念を語り続けて「やっとわかってきたな」と思うまでに4年かかったという。理念研修は「毎年1200人が受ける。会社が成長しても、売上の一定比率は恒常的に理念教育に回さないと駄目だ。この投資を無駄と思ったら劣化する」のだと。創業者が強烈な個性と経営理念を示した会社は特にそうだろうが、企業理念を浸透させる努力は特に歴史のある企業では困難である。しかし、成功し続けているところは、そこで力を抜いていない。たとえばジョンソン&ジョンソン、たとえばGE。日本の住友グループでいえば、その精神、例えば「いやしくも浮利を追わず」がどれだけ理念として今の時代に機能しうるのか。心の支え、判断の基準になりうるのか。その時代に適したようにそれを補い、自らが伝道師となる役割を、企業経営者は持つべきなのであろう。