深い集中力

羽生善治さん。「私が深く集中するときは、スキンダイビングで海に深く潜っていく感覚と似ている。一気に深い集中力に到達することはできない。海には水圧がある。潜るときにはゆっくりと、水圧に体を慣らしながら潜るように、集中力もだんだんと深めていかねばならない。そのステップを省略すると、深い集中の域に達することはできない。焦ると浅瀬でばたばたするだけで、どうもがいてもそれ以上に深く潜っていけなくなってしまう。逆に、段階をうまく踏むことができたときには、非常に深く集中できる。深く集中している状態では、雑念や邪念が一切消え去り、深い、森閑とした世界に身を置いた感覚である。周りを見ているが見えていなかったり、見えないものが見えたりする。時間の観念もなくなる。」それほどまでに集中できる、おそらくは幸せな状態を。