採算を度外視してもかまける

島田雅彦さん続き。「例えば、職人に大金持ちはいませんよね。『自分の納得のいくザルは10年に1個しかできねぇ』、といって自分の理想や技を追求する。そのことに敬意を払いたい。なぜならその行為そのものが快楽だからです。ある行動から得られる報酬を期待する、その意味では、博打も快楽です。政治家は、立候補して土下座までして政治家になりたいのか、と思いますが、そこには大きな快楽の力が働いているのでしょう。」島田さんにとって一番の快楽とは?と聞かれ、こう答えている。「私は言葉を磨き上げるのが趣味でもあり、仕事でもあります。採算を度外視してもついかまけてしまうことがあれば、それがその人の天職なのでしょう。小説を書くことをやめたら、たぶん退屈で死ぬでしょう。」ついかまけてしまうことが仕事という生き方。