根本に戻って問題を考えられるか

昭和41年の7月、アメリカ市場で躍進していたスーパーカブ号の売り上げがばったり落ちて、在庫が増える。なぜ急に売れなくなったのか。藤沢武夫さんは「考えあぐねた末に、はっと気づいた。われわれは自分でいいと思ったことを、お客様に押しつけすぎていたのではなかろうか。スーパーカブ号が当たった。そこで、これは二輪車フォルクスワーゲンになるのだと思いこんで、馬力さえ変えれば同じスタイルでいいのだと勝手に決め込んでいた。しかし、考えてみれば、こっちから来るのも、向こうから来るのもスタイルはみな同じ、それでいながら値段が違うのでは、ユーザーにも不満が出るのも当然ではないか。そこで、応急対策として、とにかく売り急がないということにしました。」問題が起こった時に、何が根本か突き詰められる能力こそ。