ハイブリッド性こそ

nakatomimoka2009-11-01

内田樹さん。「(『坂の上の雲』の登場人物が)日露戦争に掛け金として差し出したのは『日本人的エートスを保持したまま近代国際社会に参入することは可能か』という重い問いであった。欧米人のようにふるまい、その価値観を内面化すれば列強に追随することは可能である。けれども、そうなったら、それはもう日本人ではない。日本人であり続けながら、なお国際社会における名誉あるフルメンバーとして遇される為にはどうすればいいのか。明治期の日本人たちは、政治経済から学問芸術に至る全領域でこの宿題に取り組んだ。夏目漱石森鴎外福沢諭吉中江兆民も、欧米の知識を豊かに吸収してはいたが、その感性は漢詩や仏典の世界に根を下ろしていた。その『ハイブリッド』性こそが私たちの国では国民的な指南力を形作っているのである」引き裂かれつつも。