私自身の他者化

nakatomimoka2011-11-26

内田樹さん。「鏡像は私の外部にある。その外部の鏡像と自己同一化することで、私は『私の権能の熟成』を前倒しで手に入れることができる。その全能感という報酬が外部にある像との一体感という『命がけの跳躍』を動機づける。ミラー・ニューロンが発達するのは、『外部にある像と同一化すると報酬が得られる』という報酬系鏡像段階で確立したからである。全能感や快感がそれだけ強烈だからである。私たちが武術の稽古で行っている『見取り』とか『うつし』というのは、この鏡像段階を強化したものと考えることができる。師の動きは弟子の動きより遙かに雄渾で流麗であるが、弟子はそれをトレースしているうちに、師の姿のうちに自分の『おのれ自身の熟成を先取り』するようになる。それは強烈な全能感を弟子にもたらす」師の動きを自分の鏡像と思いこむ。