まったく違う発想で闘う

nakatomimoka2017-03-09

先崎学さん。「もう大ベテランだから自白するが、私は同世代の天才たちよりも少しだけ読みの力が弱かった。だから最善の道を追求して勝つという王道の戦略では勝ち目がなかった。そこで、この5一香と打った局面のようなカオスな魔の一瞬を作ることを自らの将棋の中心におくようにした。遠い昔、三十年近く前のことだ。それから棋士として、おそらくプロとして大半の棋士とはまったく違う発想で闘い、生き残ってきた。検討で、私は三浦君にこうしたことを話した。同業者に手口を公開したことなんてないのだが、この対局は彼にとって重く、私にとっても闘い抜いてきた戦友として、三浦君の重さを受け止める意味で重要な一局だった。だから本音を言ったのだ。私は本局で棋士としての礼を尽くそうと思った。駒をしまい、我々は深く一礼した」王道でなく。