矩を踰えず

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安田登さん。「十有五で学に志した孔子の魂の遍歴は、七十歳の『心の欲する所に従いて矩を踰えず』で完成します。孔子にとって『心』とは、決して表層の『こころ』ではありません。その深層にある『思い』でもなく、さらに深層にある芯である『心(シン)』なのです。そして、『矩を踰えず』の『矩』とは単なる社会の規範ではなく、荘子が『天鈞』と名づける宇宙に遍満する動的な法則をいいます。七十歳になって、ようやく『心(シン)』に出会った孔子も、『心』に従えば、宇宙の変幻自在な秩序の中で自由に舞い遊ぶことができることを発見したのです。その時、私達の『こころ』と『からだ』と『たましい』はひとつになり、人類が純粋だったころに体験した、そして私たちが幼い頃に体験した、心身未分化の『み(身=実)』の境地に再び至る事ができるのです」一体。