昔はよくなかった

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嵐山光三郎さん。「『昔はよかった』という人がいますが、なにをもってよかったのか。よかった昔なんてどこにもない。『昔がよかった』という思いは、貧しくてガムシャラに生きてきたココロザシをいとおしく感じるのです。老人になるとこれからの行く先が見えてくるので、とりあえず『昔はよかった』と回想する。バカで粗暴でチンチクリンで挙動不審のろくでもない過去を思い出すと、なつかしくなる。それは錯覚のノスタルジアで、すんでしまったことを肯定しないと、老人は生きていけない。老人には思い出しか残っていないので、『昔はよかった』と思いがちですが、ひとりとして昔に戻れるわけではありません。かりに昔に戻れたとしても、『じつはよくなかった昔』がある。それで『昔はよかった』と思いこませてしまう。一番いいのは『今』です」昔は。