混ぜずに和える

土井善晴さん。「それから、他のものと組み合わせないで独立させるということは、それぞれがご機嫌なこと。だから和食では混ぜるってことがないんですよ。ひとつひとつの食材に敬意を払います。ですから、『和える』。それぞれの存在感を、美しいところを尊重させて、隣同士に。これも利他ですよね。複数の食材の利他が互いにはたらきあって、ひとつの美味しいものが生まれる。混ぜたらあきません。混ぜたらたいていのものは汚くなるんですよ。赤、青、緑、三色以上混ぜたらグレーになって、たいていは汚くなる。だけど、混ぜないで、例えばポテトサラダなんかでも『あ、今美しい』というのがね、一番おいしい瞬間。これを混ぜすぎると粘ってしまうし、雑味になったり、水が出てくる。時間とともに雑菌が増えて味を落とし、腐りやすい」この瞬間の美味しさを。