五事を正す

栗山英樹さん。「中江藤樹の教えのひとつが『五事を正す』で、五事とは貌、言、視、聴、思を指します。『言』は思いやりのある言葉で話しかける。『視』は澄んだ目でものごとを見つめる。『聴』は耳を傾けて人の話を聴く。『思』は真心を込めて相手のことを思う、ということです。難しいのは『視』でしょうか。濁った考えを頭から追い出せずに、視線に膜が張ってしまうことがあります。『嫌だな』『面倒くさいな』『うまくいかないかもしれないな』といった負の感情が、視線を険しくしたり鋭くしたりします。気持ちが乾いたり、急いたり、湿ったりすると、言葉も乱れがちになります。丁寧に話しているつもりでも命令口調になっていたり、相手を追い込むように早口になってしまったり。文字も同じです。SNSは消えずに残るので、言葉選びは慎重に」五事を正す。