怒り鎮火の鍵は身体に

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北川貴英さん。「では、怒りの防火と初期消火とは、具体的にどのようなものなのでしょうか? 怒りは心の問題と思われがちですが、実は鎮火の鍵は身体にあります。怒りを目に見えない心の問題としてではなく、実体のある身体の問題として捉えなおすのです。例えばフルマラソンを走り抜き、へとへとに疲れ切った状態をイメージしてみてください。全精力を使い果たし、息も絶え絶えで、立つこともままなりません。こんな時に怒り狂うことができるでしょうか? 普段ならささいなことで立腹する神経質な人でも、『まあ、いいや』と後回しにしてしまうのではないかと思います。もしくは南国の青い空の下、浮き輪に身を預けてプールにぷかぷかと浮かんですっかりくつろいでいると時も、急に怒ることなんてできないでしょう」身体の状態に左右される怒り。

感情エネルギーに頼らず

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北川貴英さん。「否定してはならず、爆発させるのも、溜め込むのも全てダメ。そんな極めて厄介な感情『怒り』と、果たしてどうつき合えば良いのでしょうか。怒りや恐怖といった感情のエネルギーに頼ったところで、良い結果は得られません。なぜなら感情のエネルギーはすぐに涸れてしまうからです。適切な状況判断ができなくなってしまうこともあります。短期的にはうまくいっても、長期的に成功し続けることは困難と言える。ですからシステマでは大声で気合を入れたり、相手への敵意をかき立てたりするようなことは奨励されません。かわりにベストとされるのはカームな精神状態です。例えストレスフルな状況にあっても、まるで凪いだ海のような、静かで穏やかな心を保つ。それが自分の能力を最大限に発揮し、成果をあげるために不可欠なのです」凪。

人は必ず怒る

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北川貴英さん。「ですが、人は必ず怒ります。その時に対処法がなくては、怒りによる被害を拡げてしまいます。取り返しのつかない結果となってしまうこともあるかもしれません。また、自分の怒りがきっかけとなって『こんなささいなことで怒るとは、自分はなんてダメなんだ』という自己卑下や、新たな怒りまで生んでしまうこともある。難点はもう一つあります。それは、他者の怒りに対して不寛容になってしまうこと。未熟だから怒るという考えがあると、怒りをあらわにする人を目の当たりにした時に、『なんて未熟なんだ』『努力が足りないせいだ』と感じてしまうのです。それが蔑みや怒りを生み出し、人間関係を損ねてしまうこともあるでしょう。これは『努力によって、怒らない人間になることができる』という前提そのものに、欠陥が潜んでいるためです」必ず。

未熟だから怒るのか

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北川貴英さん。「人は努力次第で怒らずに済むようになる。この発想は、『怒ってしまうのは、その人が未熟だから』という前提の上に成り立っています。この考え方は何かと不都合なことを生み出します。その最もたるものは、いざ怒ったときの備えがおろそかになってしまうということ。未熟だから怒ると思っている人にとって、いざ怒りを感じた際に自分の怒りを受け入れるのは困難となります。なぜなら、自分の未熟さを認めることになるため。プライドが邪魔をしてしまって、自分の怒りから目を背けてしまうようになるのです。こういう思考に陥ってしまった場合、怒った時の対処法を用意しておくことに対しても心理的な抵抗を感じるようになります。それは自分が怒る可能性がある、未熟さの残る人間であることを認めるようになるためと言えるでしょう」怒り。

リタイアしない

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樺沢紫苑さん。「『退職後は、悠々自適で、のんびり過ごしたい』という人も多いでしょうが、全くお勧めできません。孤独を防ぎ、健康で長生きしたければ、リタイアすべきではありません。仕事を辞めてリタイアすると、人と会う機会、人と話す機会が激減します。人との接触頻度、会話量、コミュニケーションの量が減ると、脳への刺激も減ります。リタイアした人は、記憶力が25%低下し、認知症リスクも大きくアップします。60歳になった後も働く人は、認知症リスクが毎年3.2%ずつ低下するという研究もあり、『生涯現役』で働くことは、極めて有効な認知症予防となります。また、引退した人は、働き続ける人よりも、約5年寿命が短くなります。外出する機会が減りますので。『運動不足』に陥りやすいのです。うつ病のリスクも40%アップするのです」そうか。

コミュニティを活用する

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樺沢紫苑さん。「コミュニティの中に、何人か気の合わない人がいるのは当然のことです。仲のいい人との間に、『友情』が発生し、さらに深い友人関係に育っていく。仲間→友達という流れであれば、友達が作りやすい。仲間を作るために重要なのは、なにがしかのコミュニティ(グループ・団体)に所属するということ。趣味サークル、スポーツサークル、同好会的なもの。勉強会や、『習い事』や、『スクール』もコミュニティです。コミュニティに入り、まずは仲間を増やし、そこから『友達』を見つけていきましょう。コミュニティを活用する。これが友達を作る最短な道筋であり、孤独にならない方法でもあります。最終形としては、自分でコミュニティを作り、自分を中心に『人を集める』のが理想です。『自分を中心に円を描く』という発想」コミュニティ。

 

オキシトシンを出す方法

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樺沢紫苑さん。「パートナー、親子の交流、マッサージ。オキシトシンを最も簡単に出す方法は『スキンシップ』です。アイコンタクトや会話など、心の通った交流によってもオキシトシンは出ます。友人や仲間を持ち、豊かな人間関係を維持することが大切です。コミュニティやグループ、部活などに所属していると『安心感』があると思いますが、『帰属意識』でオキシトシンが出ます。人と人とのポジティブな『交流』によって、オキシトシンが出る。『交流』『つながり』と真逆の状態は『孤独』です。人が他者に何か『親切』な行為をしたとき、『親切をした人』『親切にされた人』の両方にオキシトシンが分泌されます。親切に限らず、感謝、他者貢献、ボランティア活動などでもオキシトシンが出ます。犬や猫などペット、動物との交流でも得られます」ふれあい。