芸術本来の姿

画家、千住博さん。「私は多様な形で表現の領域を広げていますが、これは芸術本来の姿に立ち戻ることだと考えています。ラスコーなどの太古の壁画のある空間では、単に絵があるだけではなく、そこにはかつて祈りや歌や踊りがあり、アートが複合的な形で存在していたのではないか。また芸術とは全体の雰囲気を創りだすもので、茶道では、花や茶器や掛け軸といった異なる個性を絶妙なバランスで調和させ、ひとつの宇宙を創りだすことに重きがおかれます。これは現代人の装いや、部屋のしつらえにも当てはまり、靴ひとつや家具ひとつではなく、全体の雰囲気をバランスよく創ることこそが大切だと教えてくれる。」人間存在の総合的な表現としての芸術を、我が生活にも。