自負と野心

谷沢永一さん。「自負と野心は殆ど見分けがつかず紙一重の差でしかない。その間に身を処して野心の臭気を去り、自負の鋭気のみを表出する構えが人を美しく見せる。若くして自負なき者は取るに足らぬ。若年の自負は精気であり好もしい眺めである。しかし年齢を閲(けみ)するにつれて自負は柔らかくほぐしていかねばならぬ。自負を責任感へと次第に転化していく配慮が必要である。自負を責任感へと化けさせる智恵働きが熟年老年に及んで世に許されるための秘訣であろう。」プライド、自負を失わず、しかしそれをいかにして責任感に転化していくか。