エポケー

野中郁次郎さん。「フッサールは知識がわれわれの主観の中で立ち現れてくる過程について、『エポケー(判断停止)』という方法論を示しています。われわれはとにかく日常生活の流れの中に埋没し、さまざまな習慣的行為や社会的行動規範の中に浸って生きてしまいます。しかし、既存の枠組みにはまったり、慣習に流されたりして生きている限り、今直面している出来事や自分自身のあり方をありのままに見ることや、その本質を冷静に判断することはできません。そこで、われわれが今ここでしている行為や判断をいったん止め、”カッコ”に入れてくくってしまう。日常生活というビデオを”一時停止”してみる。それをエポケーと呼びました。」このような時を持とうと学生時代に決意したのだが、漠然とした概念であった。そうか、あれは「エポケー」だったのだ。