企業価値とコンプライアンス

北浜黒正塾で「金融資本市場から見た企業価値創造」という講座を受けた。講師の石塚雅一さんから、(1)M&Aの活発化等により資本市場における企業価値を算出する手法が求められ、債権や株式の評価手法と同様に精密化してきた(例えば将来にわたり企業が生み出すキャッシュフローの現在価値をとるDCF法)。(2)その評価方法が危ういものであるにもかかわらず、DCFを構成する計算要素を動かすことで数学的に企業価値を向上させることができるため、企業本来の活動から離れて企業倫理に抵触してまで決算操作をする誘因となり、エンロンのような事態を起こした。(3)その結果コンプライアンスの重要性が出てきたとの説明があった。「企業価値向上」と「コンプライアンス」が一般的になった時期が重なるのは偶然ではないのだ。