知らないことを知っている

nakatomimoka2009-10-10

内田樹さん。「ポランニーの『暗黙知』も、カントの『先験的統覚』も、フッサールの『超越論的直観』も要するに、『私は自分の知らないことを知っている』という事態を説明するためにつくられた言葉である。古来賢人たちは必ず『どうして私はこんなに賢いのか』という問いに遭遇した。遭遇するに決まっている。自分の賢い所以をすらすらと自力で説明できる(「やっぱ、子どものときにネギぎょうさん喰うたからやないですか」とか)ような人間は『賢者』とは言われない。真の賢者は恐ろしいほどに頭がいいので、他の人がわからないことがすらすらわかるばかりか、自分がわかるはずのないこと(それについて一度も勉強したこともないし、興味をもったことさえないこと)についても、『あ、それはね』といきなりわかってしまう」賢人ではない、私。