羽生善治さん。「将棋の一手一手には、常に決断の力が必要とされます。決断に際し、『自分自身を裏切っていないか』を常に問われると思っています。そう問われた時に『裏切っていない』と感じられるか否かは、やはり自分がどれだけ努力をしていたかに深く関係しているはずです。プロの棋士がそれぞれ戦略を練り、日々戦況が変化している将棋の世界では、例え今年調子が良かったとしても、月並みなことをしていては、来年も再来年も勝ち続けることは不可能です。刻々と時流は変わっていきますから、長期的な展望に立って、負けるかもしれないけれども、新しい戦法に挑戦していく前向きな姿勢が大切なのです。自分の中で新しい戦法のシミュレーションをしたとしても、実際の対局で使ってみなければ、力としては身につきません」例え負けても。