阿刀田高さん。「あえて略言するならば畏敬と敬愛、祈りと芸術、こんな言葉で私はギリシア人と神との関係をとらえてみたい。古代ギリシャ人も農耕において航海において様々な畏敬に出会い、多神教を創り上げて敬愛の対象とした。そのプロセスにおいてこの民族が固有する豊かな芸術性が加わったこと……つまり想像力を駆使して多彩な物語や寓意性が加わったことは言うまでもない。古代ギリシャ人は心から神話の神々を敬愛していた。その心理を煎じ詰めれば、”神々の心はよくわからない。だが、神であればこそ、なにかしら深い考えがあってのことにちがいない。目の前の不幸は祖先の犯した罪の贖いなのかもしれない。未来への見通しなのかもしれない。私たちは貢物をささげ、祈りを重ねて御恵みをまつより他はない”ということではなかろうか」畏敬と敬愛。
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