動きに甘みが出てくる

nakatomimoka2011-06-19

内田樹さん。「呼吸法をよくやると動きに『甘み』が出てくると多田先生はよくおっしゃっている。『甘み』というのは、『これから甘いものを食べる』という予感のもたらす『前味』があり、『甘いものを口中に投じ、咀嚼し、嚥下している』リアルタイムの経験があり、最後に『口中の甘みの記憶』という事後の『後味』が残る。つまり、『甘み』というのはすぐれて時間的な現象なのである。これを武道的な動きに適用していうなら、動き出す前に『すでに』技が始まっており、動き終わったあとにも『まだ』技が続いているように感じられるのが『甘み』のある動きだということになる。その領域内に入ったものを活殺自在に操れる空間のことを『結界』という。(合気道の稽古では、体軸を中心にした約半径二メートルの円錐形の空間を『結界』と見なす。)」甘みを。