細部にわたって想像する

nakatomimoka2011-06-18

内田樹さん。「強く念じたことは実現する。これは本当である。問題は『強く』という副詞にある。『強く念じる』というのは、『細部にわたって想像する』ということである。細部にまでわたって想像するためには、『具体的なもの』を描き出さなければならない。数値や形容詞によって妄想することはできない。『年収二千万円で、家賃三十万円のマンションに暮らして、一本二万円の高級ワインを二百ミリリットル飲んでいる未来の私』というようなものは想像できない。想像できるのは、家具の手触りであり、空気の匂いであり、グラスの舌触りであり、そこに注いだ嚥下するときの内蔵の愉悦である。それは数字や形容詞で描くことができない。この想像には終わりがない。想像には節度がないので、私たちは実に多くのことを想像してしまうのである。」念じる。