同化と機の葛藤

nakatomimoka2011-11-20

内田樹さん。「潜在意識が身体を主宰するとき、意識と意識の間に瞬時の『空白』が訪れる。それが『機』である。『空白』というのは、自分が何を考え、何をしているかを『私』が知らないからである。合気道の稽古で、『同化』ということに軸足をおいて稽古すると、技が柔らかくなり、機を失した動きになりかねない。けれども機に軸足を置いて稽古すると、おそらくほとんどの人は相手を『一撃で倒す』ということばかり気にして、結果的に対立的な図式に戻ってしまうだろう。勿論この葛藤にできあいのソリューションはない。葛藤を苦しむことそれ自体が稽古であり、その稽古を通じて、もっと複雑で手のつけようのない葛藤に遭遇するせいで、この葛藤が『前景から退く』というのが武道的なソリューションのあり方だからである」通常とは違う時間の流れで動く。