敵を作ってはいけない

nakatomimoka2011-12-11

内田樹さん。「武道では、『敵を作ってはいけない』ということを繰り返し教えられる。だが、この言葉の意味をほとんどの人は精神的訓話だと思っている。それは違う。『揺れ動く粒子の数を高どまりさせておく』というのが生命体の諸器官が高いパフォーマンスを維持するためには必須であり、それは言い換えれば『生き延びる上で必須』だということである。だが、因習的な『敵ー主体スキーム』を採用すると、私たちは敵対的な場面において、自動的に自分の身体を『攻撃部分』(揺れ動く部分=遊軍)と『防御部分』(動かない部分=陣地)に分割し、固定化しようとする。そして、『敵』に対する恐怖や猜疑が強まるほど、遊撃隊の活動は鈍り、ハリネズミのような防御体制を取ることになり、自由に動く粒子の数が減る。それだけ運動制度は下がる」揺れ動かせる。