内田樹さん。「武道はもっと『欲張り』である。運動制度をもっと上げることができないかと考えるのである。自分の身体を構成している原子の量には限界があるから、ある程度以上『揺れ動く粒子』の数は増やせない。でも、目の前に等量のストックがあるではないか。相手の身体である。相手の身体と自分の身体を『同体』として、100パーセントリラックスした状態にもってゆくことができれば、運動精度は私が単独で行動しているよりも飛躍的に高まる。理論的にはそういうことになる。そして、やってみるとわかるけれど、実践的にもそうなのである。気の感応が高まり、体感が一致すると、二人の人間が作り出す動きは、単体で動いている場合にはありえないような精度を達成する」相手までを同体として、100%リラックスした状態での稽古を目指して。