三品和広さん。「企業の戦略も、遠くの一点を見つめつつ、確度の高い命題、もしくは正義に賭けていくのが本来あるべき姿である。ここで正義というのは、資本主義の下で企業という存在が、世の中を良くする何かを創造する以外に生き残る道がないように仕組まれているからである。戦略不全に陥った企業はこの宿命から逃げたことを、戦後日本の企業史が示している。創造力の喪失こそ、我々は問題とすべきなのである。経営者が留意すべき最大の落とし穴は、資金の配分を間違える所にある。創造に立ち向かおうとする企画案を却下するか封じ込め、資金を温存する一方で、いざ窮したときに安易な応手に走り、温存した資金の何十倍、何百倍にも上る金額を戦略暴走の後始末に費やす姿は異様としか形容できない」静寂の中で、漠たる企てに立ち向かってこそ。