無所属の時間

nakatomimoka2012-08-22

伊集院静さん。「作家の城山三郎氏は、それを”無所属の時間”と呼んで、大切にした。”無所属の時間”とは、書いて字のごとく、その時間がどこにも所属しないことだ。例えば自動車のセールスマンが旅に出て、時間が空いたのでライバル社のセールス振りを覗いてみる、という行動は、すでにその時間が仕事に所属してしまっている。妻がガーデニングが好きなので花の種でも買いに行くか。これも既に家庭、夫というものに所属している。一度、どこにも所属しない時間を過ごしてみたまえ。これが案外と難しいことがわかる。初手でやるならホテルの一室でじっと過ごすか、街を理由もなく歩いてみることだ。何かがあるものだ。作家の吉行淳之介氏は”煙草屋までの旅”と語った。家から煙草屋までのひとときでさえ、人は何かにめぐり逢うものである」そんな時間を。[Photo:Y]