自分ができないことを教える

nakatomimoka2013-11-29

内田樹さん。「武術の場合、僕がもしある流派の開祖を称して、弟子を採っていたら、例えば道場破りが来たときに負けたら、それで終わりなわけじゃないですか(笑)。だけど、弟子だったら全然平気なわけです。仮に道場破りにやっつけられたとしても、『俺を倒したくらいでいい気になるなよ。うちの師匠にかかったら、お前なんかイチコロさ』って開き直れるわけです。何かむずかしい技を教えるときにも、『俺にはできないが、多田先生はおできになる』ですむ。でも、自分が開祖で、自分が流派のオーナーだったら、自分が出来ないこと、現時点でできるパフォーマンス以上のことを教えることはできない。でも、僕には師がいて、師にはその師がいて、という道統のなかに自分を位置づければ、教育目標はどこまでも積み上げ可能になる」あくまで弟子。