悪魔祓いとしての駄洒落

nakatomimoka2014-05-30

村上春樹さん。「河合先生の駄洒落というのは、言ってはなんですが、実にくだらないのが特徴でした。いわゆる『悪い意味でのおやじギャグ』です。しかし僕は思うんですが、それはそもそもできるだけくだらないものでなくてはならなかったんです。そうでなくては意味がなかった。駄洒落を言うことは河合先生にとっては、いわば『悪魔祓い』のようなものだったのではないかと僕は考えています。河合先生は臨床家としてクライアントと向かい合うことで、多くの場合、魂の暗い奥底までその人と一緒に降りていきます。それは、往々にして危険を伴う作業になります。(略)そのような場所で糸くずのように身体にべったり絡みついてくる『闇の気配』を振り払うためには、できるだけしょうもない、ナンセンスな駄洒落を口にしないわけにはいかなかった」それ。