手立て講じて利益を与える

nakatomimoka2015-11-19

道元著をひろちさやさん訳で。「利行というのは、身分の高下にかからわず、すべての衆生に、様々な手立てを講じて利益を与えることだ。たとえば、遠い将来、近い未来を勘案して、他人を利する手段を講ずるのである。愚かな人は思うであろう、他人を利することを先とすれば、自分の利益がなくなる、と。そうではない。利行というのは自/他を超越した絶対的な実践であって、その利行において自己も他者も利益を受けるのだ。周公は、一度の沐浴中に面会を求める人があって沐浴を中断して三度も髪を結い直して面会したというが、それも面会を求める他人の利益を思ってしたことだ。それ故、怨みある者も親しい者も平等に利益を与え、自他ともに平等に利益を与えるのだ。利行とは、つまるところ自分の愚かさを救う自利の営みにほかならない」まずは人のため。