ライフワークの奇跡

nakatomimoka2015-12-20

外山滋比古さん。「画竜点晴という言葉がある。竜を描いて最後にその竜に瞳を入れると、たちまちその竜が天に昇るという。われわれの人生においても、最後にそのわずか二、三の石を置くと、今まで死んでいたと思われていた石ががぜん生きて、というすばらしい成果を挙げるかもしれない。西田幾多郎は、日本が生んだもっともすぐれた哲学的天才であろうが、京都大学を六十歳で定年になった。彼の業績のすぐれたもののほとんどは、それ以降に、まとまったのだという。自分のそれまでの学問的な仕事相互につながりを与えて、そこに『西田哲学』といわれる体系をつくりあげることに成功した。ライフワークとは、それまでバラバラになっていた断片につながりを与えて、ある有機的統一にもたらしていくひとつの奇跡、個人の奇跡を行うことに他ならない」瞳を。