逆境で生まれた5七銀

nakatomimoka2016-05-24

中原誠さん。「相矢倉から一直線に攻め合う展開で、終盤、相手の攻めを1手遅らせる手が思い浮かんだ。それが▲5七銀です。ただで取れる相手の馬を取らないで、その馬が利いている所に自分の銀をただで捨てたのですが、ちょっと珍しい手ですね。自分でもこれはすごくいい手だな、と思って指しました。不調の時に一番いい手を指せたのは今でも不思議です。偶然が積み重なって、あの局面が現れたとしか思えません。調子が悪くても努力を続けていたことに対する、神様のご褒美だったのかもしれません。逆境から再び立ち直れたのは、一度挫折を味わっていたことも大きかったと思います。▲5七銀を指した当時は若かったので、これからもっといい手を指せるだろう、と思っていましたが、結局これを上回る手は指せませんでした」生涯の一手といえる仕事を。