鷲田清一さん。「ここにいて遠くのだれともつながることのできる情報媒体をわたしたちは手に入れた。けれどもはたしてそれで世界は広がったのか。子どもまでケータイやインターネットを駆使できるようになったのに、皮肉なことにコミュニケーションはどんどん内向し、その圏域はどんどん狭まってゆく。交信相手はかぎられ、そのかぎられたひとと強迫的なまでにくりかえしくりかえし交信する。世界を開くはずのメディアを手にすることで、世界はますます小さく閉じていく……。これならケータイなどもたずに見知らぬ土地に出かけたほうが世界は広がる。見ず知らずのひとに道を訊ね、地のものを食わせる店がないか訊き、食べ終えたらお店のひとにいろんなことを教えてもらうほうが、うんと世界は広がる」ほんとうのネットワークをつくり世界を広げるために。
