英雄になりたい

nakatomimoka2018-03-13

島田雅彦さん。「一般的な文学作品、とりわけ小説はなぜ書かれるのかを、私なりに4つに分類して説明してみます。一つめの理由は『英雄になりたい』。すべての文学の営みに先立つ、物語の元型といえるのが神話です。古代ギリシア人は神話を、世界を認識する装置と考えました。古代人の生活の記録であり、自然界の法則や掟を学ぶ知恵袋であり、過酷な生や運命を受け容れる手段を学ぶ教科書でもあったのです。神話の時代からそう遠くない時期に成立した英雄叙事詩にも、神々が登場します。ここでは、試練や不条理を人間に課する神々と、それに対し理性をもって抗う人間の戦いが描かれます。(最終的に、神の思惑通りに物事が進むが為に、悲劇は起きるのですが)。ともあれ、人間の中で最も優秀で、神に与えられた運命に抗うことができる者、これが英雄です」英雄。