鈴木晶さん。「フロイトが示した回避すべき『苦痛』について見て行きましょう。人間が避けたいと考えている苦痛には3種類あります。『身体の苦痛』『外界からの苦痛』『他者との関係』です。身体の苦痛には、勿論病気や怪我も含まれますが、身体的な欲動（食欲や性欲など）が満たされないときに感じる苦脳もその一つと考えていいでしょう。『外界からの苦痛』は、自然の脅威と言い換えることもできます。三つめの『他者との関係』とは、文明社会に生きる上で避けられない人間同士の関係の中から生まれる苦しみや悩みのことです。回避する方法として、フロイトは多くの具体策を挙げています。性欲を別のエネルギーに転化させる方法、現実社会との結びつきをすべて断つ方法、薬物による方法、東洋のヨガで欲動を制御する方法、世界を改造する方法などです」避けたい。
